地図を見ると意外なことに、郊外だけでなく、都心に近くても貧困層の比率が高いエリアが点在していることが分かる。

 この地図とメッシュ人口を基に貧困者数(貧困人口)を推定し、地域を特定して人数順に並べたのが上の右表だ。池袋や新宿といった主要駅近くの1キロメートル四方の土地に、5000人を超す貧困者が住んでいるのである。とはいえ、ここに登場する地域は、メッシュ人口そのものが多いことも影響している。そこで、メッシュ人口が4000人以上の2885エリアに絞り、貧困層の比率(貧困率)の順に並べたのが上の左表になる。

 大学の学生寮があるなど特殊な事例も含まれるが、目立つのは公営住宅や団地の多さだ。その一方で、横浜・長者町や新宿・歌舞伎町付近などといった繁華街の近くにも、貧困率が高いエリアが存在していることが分かる。

 こうした都心の貧困エリア形成について橋本教授は、「かつて都市の中心近くに工場があり、労働者の住宅密集地ができた。都市の成長とともに開発されるはずだったが、バブル崩壊で消えずに残った。環境が悪く、貧困層が集まりやすくなっている」と説明する。

 身近な都市部にも、あなたの知らない貧困は確実に存在するのだ。