米バージニア州政府幹部の間で次々と危機が広がっていく状況を見ると、「他人の不幸は蜜の味」を堪能したくなるものだ。渦中の人物は、いずれもこれまで政敵をすぐさま人種差別主義者や性差別主義者だとののしってきた民主党の政治家で、明らかに不適切な過去の行為に関して、一転して必死の弁明に追い込まれている。危機の発端は、ラルフ・ノーサム知事の過去の行為に関する問題で、とりわけ失笑を誘うかもしれない。ノーサム氏は2017年、対抗馬の候補に対して、暴力犯罪の源泉は移民だとして不安をあおり、南部連合の像の維持を望んでいるとして、人種差別主義者のレッテルを貼ることで当選を果たした経緯がある。そのノーサム氏が1984年の卒業記念アルバムで、医学生だった25歳当時に、白人至上主義の秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)の白の三角ずきんをかぶった人物か、顔全体を黒く塗った人物のいずれかの格好をして写真に収まっていた疑惑が浮上。ノーサム氏は当初はその写真が自分であると認めたが、その後一転して否定した。さらに、奇妙かつ要領を得ない記者会見でその罪を増幅させ、いくらか残っていたかもしれない信頼も失った。