株価と景気が乖離(かいり)する状態が続く。そのために世界経済の減速が本当に進行中なのかどうかを判断するのが通常より難しくなっている。そこには3つの可能性が考えられる。投資家はそれらを区別する必要がある。第1に、昨秋に相次いで経済を襲った一度限りの事象――悪天候、インフルエンザ大流行、欧州の新たな自動車排ガス規制――の影響がまだ続いていること。第2に、危険な世界規模の景気減速が中国に引きずられる形で本当に起きていること。第3に、世界の政治秩序が崩れつつあることだ。米中貿易紛争が激化しているほか、英国の欧州連合(EU)離脱問題は混乱に陥り、それ以外にも機能不全が欧州を覆っている。第1の影響はいずれ薄れるだろう。第2は相当長引く可能性がある。第3はまだ助走段階にすぎず、状況がどこまで悪化するか分からない。