平泉(11年登録)にしても富岡製糸場(14年登録)にしても、知らなかった人が世界遺産登録をきっかけに知ることでイメージがぐっと上がった。長崎はもともと観光地として人気が高い上、軍艦島が15年に「明治日本の産業革命遺産」として登録され、大浦天主堂も長崎では有名な観光地なので、新たな魅力の発見につながらなかったと田中氏は分析する。また、最近の世界遺産の傾向として、広範囲にまたがる資産群が登録されるが、これはブランド効果が出にくいという。
都道府県の魅力度でも長崎県は順位を一つ上げたものの10位止まり。軍艦島が世界遺産に登録された15年には前年の10位から5位まで上昇しており、比較すると今回の世界遺産効果が限定的だったことを示している。
ただし、「世界遺産や大河ドラマのロケ地でつくられた熱は冷めるのも早い。軍艦島のブームは1年で終わった。今回は上昇が弱かっただけに、効果が持続する可能性もある」と田中氏は読む。