欧州連合(EU)は英国の離脱(ブレグジット)を6週間後の3月末に控え、テリーザ・メイ英首相が自身の離脱協定案で英議会の承認を得られるよう、さらに譲歩する心づもりだ。だが離脱期限が迫る中、EU側はまだ、メイ氏が打開策を打ち出すのを待つしかない状況で、果たしてメイ氏の離脱合意案が議会過半数の支持を得られるのか、EUはしびれを切らしつつある。欧州当局者によると、英国は認めていないものの、仮に合意案が議会で承認されれば、3月29日の離脱期限を延期する必要があることだけは確かなようだ。メイ氏は争点となっているアイルランド国境問題の「安全策(バックストップ)」に関して、英国が永久にEUの関税同盟に縛られることはないとの法的な保証をEU側に求めている。英領北アイルランドとEU加盟のアイルランドの間で物理的な国境復活の回避を目指した安全策は、皮肉にも、英交渉団がEU側から引き出した譲歩案だった。