ボストンコンサルティング社長として名を馳せたビジネス界きっての読書家が、どう読書と向き合ってきたか、何を得てきたか、どう活かしてきたかを縦横無尽に語り尽くす。
自分を高める教養と洞察力が身につき、本を武器に一生を楽しむ、トップ1%が実践する『できる人の読書術』を説き明かす。
洞察力の背景にあるのは
「見識」「知恵」「教養」
二流と一流の違いを生む「教養」は、読書で得られる。
そう聞くと、多くの人は納得するだろう。
では、一流と超一流の違いを生む「洞察力」は、
一体全体、どうすれば得られるのか。それも、やはり読書なのか。
結論を急ぐ前に、洞察力とは何か、なぜ重要なのかを考えていこう。
洞察力は、英語で「insight」(インサイト)という。
洞察力と似た言葉に「観察力」がある。
しかし、観察力と洞察力は似て非なる言葉だ。
観察力は、目で見える部分をよく見て理解すること。
洞察力は、そこからもう一段階、知的に深い作業であり、
観察しただけでは見えないものを、直感的に深く鋭く見抜く力だ。
洞察力のバックグラウンドにあるのは、見識であり、知恵であり、教養である。
ビジネスの世界では、洞察力がないと話にならない。
時代の流れを読めなければ、国際的な競争にも勝てないし、
利潤の追求もおぼつかない。
日本企業でも、世界的に成功しているところは、
優れた洞察力を持つリーダーが必ず存在する。
国際競争に競り勝つには、かくも洞察力が不可欠なのだ。
それと比べて日本のいまの政治家には、洞察力が決定的に欠けつ如じょしている。
なぜなら政治家には、国際競争が存在しないからだ。
政治家の選挙はどう広く考えても、基本的に都道府県単位での競争でしかない。
それが余計、国際的視野を持つ政治家が出てこない理由になっている。
100%あり得ない話ではあるが、
フランスのエマニュエル・マクロン大統領や
カナダのジャスティン・トルドー首相のような洞察力に優れた海外の政治家が、
「日本のリーダーになってもいいよ」と手を挙げたとしたら、
競争力のない日本の政治家たちは誰一人として太刀打ちできないだろう。