「もうマンションを買ってもいいかな。でも損はしたくないし、ローンも怖い」。
そんなあなたが買うべきは、「60m²前後」×「駅徒歩7分以内」×「2001年以降完成」のマンションしかありません。

70~80m²に比べ、60m²は価格が手ごろで、売ることや貸すことになったときでも、“守備範囲が広い”ので「売りやすく、貸しやすい」のです。

入居を希望する人たちは「夫婦2人」から「子ども1人の夫婦」に加え、「夫婦と小さな子ども2人」、「シニア」、「1人暮らし」、「兄弟姉妹」、「母子または父子家庭」などと、非常に幅広いのです。自ら住む層だけではなく、「不動産投資」や「相続税対策」などの需要もあります。

本連載の書き手は、「不動産ひと筋30年! 12000人と面談し、成約件数は6000件以上」という圧倒的なキャリアを持つ後藤一仁氏。不動産仲介会社の“現役”社長です。「不動産を通じて、1人でも多くの人に幸せになってほしい」という願いが込められた『マンションを買うなら60m²にしなさい』の著者でもあります。本連載では、「損をしない、戦略的なマンション選び」を語ってもらいます。

マンション探しを失敗する人の口ぐせ「まず物件を見たい」

新築モデルルームにも気をつけて!

 本日は、物件探しで絶対にやってはいけないことをお伝えします。

 それは、「マンション購入に対する知識がなく、方針が定まっていない段階で、スーモなどに掲載されている物件を見つけて、いきなり内見すること」です。

「実際に物件を見てみないと、どのような物件が自分の好みなのかがわからない」「たくさん物件を見てから方向性を決めたい」と言う人がいます。

 しかし、自分たちの状況もしっかり把握しないまま、方針や計画なしでいきなり飛び出すと、きらびやかな新築のモデルルームやパンフレットに舞い上がります。

 そして、本来の希望エリアではない場所の物件や、築年がかなり経過している広い面積のリノベーション物件に一目惚れしてしまいのです。さらに、別の不動産会社の担当者から郊外の新築一戸建てのメリットを聞こうものなら、「やっぱり、新築一戸建てもいいな」と気持ちがどんどん揺らいでしまいます。

 大きな流れとしては、下記のようなイメージです。

【絶対にやってはいけない! マンション購入の行動パターン】

(1)「マンションを買おう!」と決めたら、いきなりインターネットの不動産ポータルサイトなどを見て物件を探す。そして、「これはいい」と思える物件が見つかった場合、その物件を扱っている不動産会社へ問い合わせ、出向き、その不動産会社担当者の案内で物件を内見する。

(2)この時点では、「自分たちは一体いくらの物件が購入できるのか」などはしっかり把握していない。「だいたいこのくらいだろう」という曖昧な仮定のもと、「少しでも広く、自分たちにとっての利便性、住み心地や居住性、好みに合ったマンション」が買えるエリアを探す。そして、なるべく月々の返済が低くなるよう無理をしない堅実な計画を立てる。

(3)せっかく買うのなら「一生住む」ことを想定し「多少交通の便が悪くても、のびのびと子育てが出来て、住環境がよく、十分な広さのある、価格が手頃なマンション」を探す。マンション購入に対する夢・イメージは膨らんでいるが、資産価値、子どもの成長、職場が変わる可能性といった「時間軸」はあまり考えていないことが多い。

(4)いろいろな不動産会社から物件が送られてくる度、興味がある物件の内見を繰り返し、自分たちの条件に当てはまる物件を探し求める。気がつけば、今まで降りたこともない駅の徒歩16分くらいの3LDK~4LDKのマンションを内見することに。担当者からその物件や周辺環境のプラス面の話を聞いて気持ちは盛り上がっていますが、本当にその物件を購入してしまってよいのかが気になって、自分で自分を納得させようとしている。

 これでは数千万円の買物をするにもかかわらず、あっちこっちさまよい、目的地を決めずに無防備な小船で航海に出るのと同じ状況です。こんなケースは本当に多いです。

 運がよければよい物件に巡りあうこともできますが、多くの場合、たくさんの物件を見ることで頭の中が混乱してしまいます。そして体も疲れてしまい、判断が鈍くなります。運が悪ければ、大きく資産を失ってしまう物件や災害の危険性の高い物件を購入してしまうこともあるのです。

 マンション探しは、「知識を得て、方針を定めてから」動き出しましょう。