店舗BGMといえば有線放送を想起する人は多いだろう。音楽配信ビジネスの元祖であり、業界トップシェアの企業であるUSENだが、数年前からなぜか起業支援ビジネスを始め、着々と成果を上げているという。なぜ今起業支援なのか。同社の田村公正代表取締役社長に聞いた。(ライター 相馬留美)

社長に就任以来
「音楽配信依存からの脱却」が課題

USENの田村公正代表取締役社長USENの田村公正代表取締役社長

――音楽配信ビジネスの現状についてお聞かせください。

 音楽配信業界は、インターネットを用いたサービスなどの多様化が進んでいます。社長に就任した2013年からずっと「音楽配信依存からの脱却」と言ってきました。

 先人が築いた努力の積み重ねのおかげで、50年間というロングランで音楽配信のサービスを安定的に続けてくることができました。しかし、このまま音楽配信ビジネス一本槍でよいのかという問題意識も持っていました。これからの50年を考えたとき、事業の第2の柱を考えていく必要があると。

――第2の柱とは。

 中小個店のお客様が多い我々は、そのビジネス領域におけるIT化が進んでいないことも把握しており、そのサポートに携わることが我々の社会的使命だろうと考えました。

 そこで、2014年に「Uレジ」というタブレットPOSレジをリリースし、音楽配信サービスを導入いただく前のタッチポイントとして、また、これまで通信系サービスの取り組みに特化してきた強みが生かせる「レジ」の導入を手掛けることにしました。