新興国市場は今年、米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派転換で押し上げられてきた。しかし、FRBのこうした政策転換は良いことずくめではない可能性がある。投資家はようやくそれに気づき始めている。年初から最近まで、新興国市場では株式・債券・通貨はいずれも上昇してきた。MSCI新興国市場指数の年初来リターンは今も10%。昨年の損失(マイナス17%)の一部を回復している。投資家の間でリスク選好モードが強まった一因は、FRBが1月に利上げ終了を示唆したことだ。これにより、いわゆるキャリートレード(金利の低いドルで資金調達して、新興国市場資産でより高いリターンを上げる手法)の再燃に拍車がかかり、インドルピーやメキシコペソなど、特に高利回りの新興国通貨の価値上昇につながった。FRBが20日、年内の追加利上げは見送る公算との見通しを示すと、新興国市場資産はさらに上昇した。
好調な新興国市場に陰り FRBハト派転換の真の意味
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