経営×経理

 このような事態を回避するためには、社員ら1人ひとりがコストの使い方を省みてくれるような工夫を講ずることが有効です。たとえば、各部署で工夫できそうなコスト削減案を全社員に向けてアンケート形式で募る、電話料金や水道・光熱費など事前申請なしで全社員が当たり前のように使っているコストの推移を定期的にまとめて各部署に発信する、といったことです。

 そうすれば、各部署の社員らは当事者意識を持ってコスト削減に取り組むでしょう。ひいては、コストのみならず各人の仕事の方法論についても焦点が絞られ、より生産性の高い方法を見出せるかもしれません。

 また、接待費・会議費といった後々の収益などを期待するタイプの費用など、シビアにジャッジする必要性があるものは、まさに費用対効果を求めるために、目的・相手先・金額・場所などが明記できるようなフォーマットを用いて報告してもらうようにしましょう。各人が“効果的な働き方”を心得てくれる可能性も期待できます。

 経理部員が声高にコスト削減を求めるような風景は遠い昔の話です。しかし、「社員へのアプローチは足りているのか」と少しでも疑問を感じるのであれば、自社ならではの方法で改善策を講じるべきです。

決算書を見ながら頭を
抱える日々に決別を

 さて、以上のポイントを踏まえた上で重要となるのは、経理部の今後の「立ち位置」を考えることです。伝統的な手法を再考して改善しながら、経理部隊はあらゆる角度からコストの考え方を刷新し、一辺倒ではない行動を執る必要があります。

 これまでP/LやC/R上の数字のみを注視して「コスト削減できるところはないか」と頭を抱えてばかりいたのなら、そこから脱却を図るべきです。自身の立場と役割に鑑み、柔軟な思考・広い視野を持ちながら、生産性や費用対効果を注視したアプローチを検討しましょう。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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