子どもに楽しんでもらえる
プログラミング教育とは?

 ビジュアルプログラミング言語は、「スクラッチ」以外でも「ビスケット」や「Hour Of Code」など、国内外で数多く開発されており、そのほとんどが子どものプログラミング教育を目的に作られている。

スクラッチの入門書の代表といわれる『小学生からはじめるわくわくプログラミング』シリーズは累計で12万部のヒット教本(右)「スクラッチ」の開発者が新しい教育論としてまとめた『ライフロング・キンダーガーテン』は2018年の発売以降好調に部数を伸ばし、中国や韓国でも出版され豊かなプログラミング教育に共感が広がっている(左)

「プログラミングは一発でOKというのはまれで、面倒な作業です。ほとんどの子どもは、タイピングの途中で放り投げちゃうと思う。だから、ビジュアルプログラミング言語がいいと思います。やっていることは、プログラマー思考の同じ作業でも、面倒なタイピングの必要はない。例えば『スクラッチ』なら、移動させたい文字列や画像を簡単にマウスでドラッグ&ドロップさせながら、画面のネコをいじりまくっているうちに、『こうすると、こうなる』の作業を繰り返していく。教えなくても論理的思考ができるようになるのではないかと思う」とSさん。

 2020年度から始まる小学生のプログラミング教育が義務教育として定着するには、もう少し時間がかかりそうだが、世界に目を向けると、子どもがワクワクするようなプログラミング教育があふれている。中でもユニークなのは、「詩」を使った理数系の想像力を育む指導だ。

『THE POETRY OF SCIENCE』の子ども用。教師向けもある。想像力あふれる詩で理工系の世界へ子どもたちを誘うコンセプトがアメリカの学校や理数系教育団体で評価されている

『THE POETRY OF SCIENCE』というテキストには、化学・工学・数学など理数系の分野を「宇宙」、「環境」、「計算」といった子どもがイメージできる章にして、78人の詩人がそれぞれの章に関係する「詩」を作り、全部で248篇収められている。これを「金曜日には詩を読もう」という学校活動の中で利用しているそうだ。

 このテキストの著者の1人、テキサス女子大学教授のシルビア・バーデルは、決まりのない詩の世界は、子どもの理工系教育と相性がいいという。テキストの中にはコンピューターの章もあるが、まさにその通りというように、指先で学ぶだけでは分からない自由なコンピューターの世界があふれていた。