金融政策は存在しないという説は事実と違うが、全くの間違いでもない。米連邦準備制度理事会(FRB)は市場の気まぐれにも影響を受けているのだ。この半年は、珍しいほどそれが鮮明に表れている。この話を理解するには、金融政策の引き締まり具合がどのように測定されているかについて考える必要がある。その2つの方法にはいずれも欠点があり、FRBの権限が及ばない要素が果たす大きな役割に行き着く。それは株価だ。金融政策について最も単純に判断するには、金利とインフレ率を比べて実質金利を知ることだ。この尺度で見ると、2015年12月に始まったFRBの利上げはインフレ率に追いつかなかったため、結果的に昨年まで漸進的な緩和政策が取られたことになる。その後18年の夏ないし秋(採用する指標によって違う)にインフレ率が低下し始めた時、金融政策が急速に引き締められたことになる。実質金利は15年以来のプラスとなった。
緩和か引き締まりか、金融環境は株価次第
2つの測定方法にはいずれも欠点がある
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