全員を自律的な社員にして
「管理職ゼロ」で回る会社に

 仕事の「見直し」を続け、社内のコミュニケーションを円滑にして生産性を高める仕組みが出来上がったら、第2段階として管理がなくても「自律的に働ける」、すなわち「セルフマネジメント」で働ける組織作りを行った。

 ソニックガーデンでは、セルフマネジメントを3つのレベルに分解。レベル1は与えられた仕事を1人でできる、レベル2は与えられたリソースで成果を出す、レベル3は自ら仕事を見つけて成果を出す。レベル3まで行ければ、管理ゼロでも十分に成果を出せる人材だ。

「新入社員は、最初からレベル3の域に達するのは難しいため、“師匠”をつけて早く自律できるための支援を行っています。全員がレベル3になれば全員が管理職のような状態です」(倉貫社長)

 社員が管理職のような働き方ができる実力をつけても、ピラミッド型の組織だと管理職になれる人数が限られており、「椅子取りゲーム」になるケースも少なくない。無理やり管理職を決めれば、選ばれなかった人はやる気をなくす。そこで、ソニックガーデンでは管理職をなくして、「ホラクラシー」という組織構造を作った。ホラクラシーとは、上司・部下、肩書や役職などないフラットな組織構造のことだ。

「その際、管理職をなくすことを目的にするのではなく、管理職をなくしても大丈夫な状態の組織を作ることが大事です。結果として、社員の主体性は増して、生産性も向上します。そして、部下を管理する手間がなくなるのでより売り上げや利益につながる行動が増えますし、社内政治もなくなるので風通しがいい職場になっていきます」(倉貫社長)

「納品のない受託開発」という
“独創性”が会社を支える

 ソニックガーデンでは、「遊ぶように働く」という文化を非常に大事にしている。「管理ゼロ」もこのためといっていいが、生産性を高めて、自律的な個人とチームができても、競争が激しいソフトウエア開発業界で、会社の売り上げをずっと維持していくのは非常に難しい。

 そこで3つ目のステップとして、無理なくこの働き方を維持し、他の会社にない自分たちの強みを構築するために、会社の「独創性」を作り上げた。その1つが、「納品をなくす」というビジネスモデルだ。