東大を独学で現役合格し、さらに東大大学院を受験で合格。学生時代から取得した資格の数は600を超える。これまで20年以上、試験をずっと受け続けている著者だからわかる、点数をとるワザを紹介していきます。小手先のテクニックではなく、長く勉強し続けていくために必要な戦略が詰め込まれている東大→東大大学院→600個超保有の資格王が教える点数稼ぎの勉強法から、一部抜粋して紹介していきます。東大に受かる人や本当に頭のいい人の学ぶ姿勢は、必読です。

東大生やクイズ王は、なぜ新しい知識を吸収するのが早いのか?

他の概念や考え方から
類推したり活用したりする

 初めてふれた新しい事柄について勉強しているときに、「これってよく考えたら、○○の仕組みとほぼ同じことだな」と途中で気付いて、それだけで一気に腑に落ちたという経験はないでしょうか。

 私のこれまでの経験ですと、簿記検定で出てくる投資プロジェクトの採算性の計算について勉強していて、「あ、これはファイナンシャルプランナーで出てくる年金額の計算と同じことだ」と気付いたときには、もうそれだけで全体像が理解できてしまったことがあります。

 具体的には、「X年間にわたって毎年Y円のキャッシュを生むプロジェクトは現在いくらまでなら投資する価値があるか。ただし、将来のキャッシュの価値は年Z%の割引率で現在価値に直す」というのと、「毎年Y円の年金をX年にわたって受け取るために必要な年金原資(元本)はいくらか。ただし、元本は年Z%の利子率で運用できるものとする」というのは実は同じことを言っているのだと気付いたので、既存の知識を流用してすんなり理解できたのです。

 何か新しい知識を身につけようとする際には、すでに知っている別の観念や仕組みをベースとして、そこから類推・発展させて考えると、すんなり理解できます。実際に、私たちは日々そのような形で新しい情報を理解しています。

 たとえば、バレーボールを知っている人が「セパタクロー」というスポーツに初めてふれた場合、「足でやるバレーみたいなものか」と理解するでしょう。

 また、絶賛売り出し中の人物や新商品のキャッチフレーズに「和製○○」「現代版○○」といったフレーズが使われるのも、「既存の著名な○○のようなもの」と表現することで、詳しく説明せずともその特性を伝えられるからです。

 難しいことや複雑なことを理解しようとする場合、何か別の既知の枠組みに当てはめたり関連づけたりできないかと考えるクセをつけましょう。

 既存の枠組みに関連させることですんなり理解できたり、新たに覚えなければいけないことの量を削減できたりします。

「○○とは『△△に似ているけど、この点だけ少し違うもの』である」という覚え方をすることで、簡潔にイメージして認識することができるのです。

 そのため、いろいろな分野の概念や、物事の仕組みのバリエーションを知っていればいるほど、別の新しいことを学ぶ際にそれらの仕組みを流用して理解の助けとすることができます。

 私はこれまで600以上の多岐にわたる分野の資格を取得していて、人からは「よくそんなに全然関連性のない分野の知識を大量に習得できますね」と言われますが、一見関連性がなさそうな分野にも、実は共通する要素というのは意外とあります。そのため資格マニアやクイズ王のような「いろいろな雑多な知識をもっている人」であればあるほど、また別のまったく新しい知識を吸収するのも早いのです。

 また、複雑な物事や抽象的な概念を、具体的にイメージするための助けとして「何か別の既知なもの」を流用することもできます。

 たとえば民法で決まっている「相続のルール」に関して、少し複雑な家族構成の相続事例について考える場合には、マンガやアニメに出てくる架空の家族構成を思い浮かべると簡潔に整理できます。

 実際に、サザエさんの家族を題材として相続のルールが学べる『磯野家の相続』という書籍が出ており、少し複雑な相続事例も「もし磯野家の家族で○○さんが亡くなったとしたら、相続人になるのは……」と具体的にイメージすることができるのです。

 初めて会った人の顔を覚える際にも、「目はこんな感じで、鼻はこんな感じで……」と顔のパーツの特徴を個別に覚えるより、「有名人の○○さんにちょっと似ている人」と覚えるほうが早いです。

 このような「○○と似ている」「○○とほぼ同じ」という覚え方は、言葉だけで表現しようとすると複雑になりすぎることを覚えるときに特に有効です。

流用力の磨き方