「企画プレゼンが通らない」「営業先の反応が弱い」「プレゼン資料の作成に時間がかかる…」など、プレゼンに関する悩みは尽きません。そんなビジネスパーソンの悩みに応えて、累計20万部を突破した『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』シリーズの最新刊『プレゼン資料のデザイン図鑑』が発売になりました。この連載では、同書のコンテンツを紹介しながら、著者・前田鎌利氏がソフトバンク在籍時に孫正義社長から何度も「一発OK」を勝ち取り、ソフトバンク、ヤフーをはじめ約600社に採用された「最強のプレゼン資料作成術」のエッセンスをお伝えします。
相手の興味をグッとひきつけるプレゼン資料の「秘密」とは?

 早速ですが、この約30秒の動画をご覧ください(お急ぎの方は、この動画だけご覧いただいてもポイントを把握いただけます)。

 いかがでしょうか?

 改めて、ビフォー・スライドを見てみましょう。

いきなりすべてを見せてしまっている

 このスライドは、「あなたは電子書籍派? 本派?」という質問に対するアンケート結果を伝えるものですが、大きく2つの問題点があります。

 まず第一に、テキストだけで構成されているために、直感的に内容を把握しにくいスライドになっていることです。第二に、いきなり「電子書籍20%、本80%」というアンケート結果を見せてしまっているために、相手が自分の頭で「どっちだろう?」と考える余地がないことです。自分の頭で「どっちだろう?」と考えてもらうことで、相手をプレゼンの内容に引き込むことができますので、非常にもったいないスライドになっているのです。

 そこで、まず、下図のように「電子書籍」と「本」の写真を使って、直感的に理解しやすいスライドに改善します。

直感的に理解しやすいスライド

 ご覧のように、写真を使うだけで、非常にわかりやすいスライドになります。

 さらに、もう一つのポイントは、「電子書籍」と「本」の2択を50%50%の面積比で表示していることです。こうすることによって、アンケートの「答え」を隠すことができるわけです。そして、アニメーション機能(Powerpoint「変形」、Keynote「マジックムーブ」)を使って、画像を動かすことによって「本派」のほうが多いことを示します。

画像を動かすことによって「本派」のほうが多いことを示す。

  最終的に、面積比が「電子書籍:本」=「2:8」になって、アニメーションが止まったあとに、それぞれ「20%」「80%」と表示すれば完璧です。

最初は”答え”を隠す

 このように、「最初は”答え”を隠す」ことによって、相手をグッとプレゼンに惹きつけることができるようになります。これは、プレゼンの鉄則と言っても過言ではありません。ぜひ、このケースを参考に、ご自分のプレゼン資料をブラッシュアップしてください。

相手の興味をグッとひきつけるプレゼン資料の「秘密」とは?
前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業社、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。