北朝鮮がこのところ繰り返している挑発行為は、以前に比べると控えめとも言える。そこから透けて見えるのは、不調に終わったベトナムでの米朝首脳会議後の同国の新戦略だ。つまり、不満を伝えるために緊張は高めるが、米国と韓国が外交努力を放棄しない程度にしてとどめておくというものだ。金正恩体制はこれまで、米国や韓国の関心を引きたいときは軍事力を誇示したり、露骨に攻撃的な態度を示したりしていた。しかし現況で弾道ミサイルの発射や核実験に踏み切れば、ようやく手にした米韓との緊張緩和状態が崩れることになる。2月の米朝首脳会談が制裁緩和で合意のないまま終了し、正恩氏はこれまで経験したことのない状況に置かれている。追い詰められた正恩氏は米国との関係を破綻させずに再び交渉のテーブルに着かせるため、控えめな挑発行為を選びつつある。
北朝鮮の新戦略、「控えめな挑発」を読み解く
非核化交渉に行き詰まった金正恩氏は新たな挑発を始めた
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