戦力強化した巨人が優勝
投手力が明暗を分けた交流戦

 1ヵ月に渡って行われたセ・パ交流戦が終わる。

 ご存じの通り今年、優勝を勝ち取ったのは巨人。05年に交流戦がスタートして以来7年間、パ・リーグチームの優勝が続いていたが、その壁を巨人が初めて破ったわけだ。

 巨人の優勝にはさまざまな要因が挙げられるが、やはり大きいのは戦力補強だろう。巨人は今年の交流戦で17勝7敗の成績を残したが、17勝のうち福岡ソフトバンクから移籍加入した杉内が4勝、ホールトンが3勝、計7勝を稼いだ。

 一方、昨年の交流戦を18勝4敗2分で制したソフトバンクは今年、8勝13敗3分で最下位に沈んだ(6月18日現在はDeNAと同率で、2試合を残すDeNAの成績次第では11位もあり得るが)。昨年のソフトバンクは杉内が2勝、ホールトンが3勝、MLBに行った和田が4勝と3人で9勝を稼いだが、その勝利分がまるまる減った形だ。勝負は投手だけで決まるわけではないにせよ、投手力で大きなプラスがあった巨人とマイナスがあったソフトバンクが明暗を分けたのは確かだ。

 そんなことが関係しているのか、セ・リーグのチームが初めて優勝し、しかもそれが全国区の人気を誇っている(はずの)巨人だったにもかかわらず、盛り上がりは今ひとつだった。

 交流戦は24試合(1チーム当たり)で決着がつく短期決戦であり、この時期に好調の波が来て勢いに乗ったチームがあっさり勝つこと、成績はペナントレースに反映されるものの順位を争う同一リーグ対決ではない分、緊迫感に欠けること、地上波のテレビ中継が少なかったことなどもあるだろう。通常は見られない対決、たとえば巨人・杉内vs古巣のソフトバンク打線とか、田中将大や斎藤佑樹vs巨人打線などといった勝負が見られるお祭り的なシリーズと割り切って楽しんだ方がよさそうだ。

 もっとも、大きな収穫もあった。活きの良い若手、それも高校を出たばかりの20歳前後の若武者が次々と頭角を現し、胸がすくようなプレーを見せたことだ。