ほんの1カ月前は中国経済が回復基調にあると、多くの投資家が確信していた。数週間で何と大きく変わってしまったことか。米国との貿易摩擦が不意に再燃した上、4月の経済指標は総じて軟調だった。まずは購買担当者指数(PMI)、そして今回の貿易統計だ。前年同月と比較した輸出は3月の14%増から一転、4月は2.7%減少した。それでも、まだ景気の二番底だとは限らない。1-3月期、とりわけ3月は、いくつかの一時的要因がデータに影響し、経済を実際より好調に見せかけた面がある。一方、4月のPMIと輸出の数字は見た目ほど心配ではない。中国経済は依然として回復を享受している。比較的弱く、早期の段階ではあるが。今年1-3月期の景気を好調に見せた要因は何だろうか。1つには、比較対象になる2018年1-3月期の貿易収支が春節(旧正月)の日付のずれや石油など輸入品の価格上昇で、14年以来初の四半期赤字に転落したことが挙げられる。つまり19年1-3月期には著しい純輸出の伸びが初めから織り込まれており、実質経済成長率を実際よりもよく見せる効果があった。中国が4月1日付で実施した増値税(付加価値税)の大幅減税も、輸出時の増値税の還付をできるだけ多く受け取ろうとする輸出企業の駆け込み出荷をもたらし、4月の輸出分を一部吸い上げた。
中国、輸出減も景気二番底とは限らず
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