株式市場は「オルタナティブ・リアリティー(別の現実)」を生きていると批判されることが多い。だが米中貿易戦争を分析すると、株式市場が独自のリアリティーを作り出すという真実を認めざるを得ない。ここ2週間、現実はかなり不愉快なものだった。ドナルド・トランプ米大統領による今月初めのツイートで、貿易戦争の再開が明白になって以降、S&P500種株価指数構成銘柄の約75%、およびゴールドマン・サックスによる中国へのエクスポージャーが高い銘柄リストのうち95%が下落。債券利回りも急低下した。もっともなことだ。市場が縮小を期待していた米国の対中関税が引き上げられ、トランプ氏は貿易協議が今すぐ妥結しなければ、全ての中国製品に関税を適用すると警告している。これはすなわち価格が上昇し、利益が減少し、経済が減速することを意味する。