レビュー
「才能」――なんとぼんやりした言葉だろう。その実体はあまりに曖昧であるようにみえる。
本書『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』はそんな、つかみどころのない「才能」をテーマにした一冊である。著者は、デビュー作『このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む 転職の思考法』の大ヒットが記憶に新しい、北野唯我氏だ。
本書もデビュー作と同様、ストーリー仕立てとなっている。主人公は、あるテックカンパニーで広報を務める青野。35歳だ。彼は創業者である上納アンナの“才能”に惚れ、創業メンバーに名を連ねている。
ある日、週刊誌に上納アンナのネガティブな一面を強調した記事が出てしまった。この出来事をきっかけに、上納アンナだけでなく、広報としての青野の立場も悪くなっていく。悩む青野に手を差し伸べてきたのは、誰もが知るある銅像だ。青野は彼(?)から、人間には「天才」「秀才」「凡人」の3種類がいること、「天才」は「凡人」によって殺され得ることを教わる――。