インドではパラドックスが生じ始めている。インドは、戦略的にはかつてないほど欧米、特に米国に接近しているが、その一方で欧米的な価値観を放棄しようとしているのだ。インドの有権者らは、23日に開票が始まった同国の総選挙で、ナレンドラ・モディ首相率いる与党連合を圧勝させた。モディ氏が属するインド人民党(BJP)の選挙運動の進め方から判断すると、英国から独立後のインドを特徴付けてきた世俗主義的規範の多くを同氏が放棄するのは確実とみられる。BJPが今後5年間にわたり、ヒンズー教徒が人口の80%を占める同国を明からさまにヒンズー教中心の手法で統治する状況を想定してみよう。それは、少数派のイスラム教徒やキリスト教徒にとって良いニュースではない。食事や服装、視聴対象などについて、宗教色の濃い政府から指示されることを望まない何百万人ものインド人にとっても同様だ。
【寄稿】インド首相の欧米めぐる自己矛盾
戦略的には欧米に接近している一方、欧米的な価値観は放棄しようとしている
有料会員限定
あなたにおすすめ