今年初めて、中国経済の実情が投資家の目に明らかになりつつある。だがそれは、気持ちのいい眺めなどではない。1月から4月の中国経済指標は、遊園地のびっくりハウスの鏡に映ったかのようにゆがめられていた。旧正月(春節)の連休がずれたほか、大幅な付加価値税(VAT)引き下げを巡り経済活動が4月から3月に前倒しされたことがその理由だ。このため楽観的な向きは、状況は見た目ほど悪くないと論じることができた。昨年12月以降、投資家が景気の実態をはっきりと目にすることができるのは、5月が初めてとなる。そうした中で5月31日発表された5月の製造業購買担当者指数(PMI)が悪化したことは、実に気掛かりだ。この指数は通常、遅行指数の動きを占う目安となる。製造業PMIは活動の縮小を示す水準に再び落ち込み、12月と同水準に並んだ。そのうえ新規輸出受注は一段と悪化した。
中国経済の厳しい実情、一段と鮮明に
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