アップルの研究所の技術者は3年前、同社のデータ分析部門が使用しているサーバーの1台に懸念すべき問題があることを発見した。それは米スーパーマイクロ・コンピューターがアップル向けに製造したサーバーで、悪意のあるソフトウエア(マルウエア)に感染していた。アップルはスーパーマイクロの大口顧客で、2000台以上の同社製サーバーをデータセンターに設置していた。だが研究所に置かれた1台以外は感染していないことをすぐに確認した。アップルは昨年10月、この出来事についてウェブサイトで「偶発的なものであり、標的型攻撃ではない」と発表した。とはいえ、この一件は「自社のサプライチェーン(供給網)をどう守ればいいのか」という多くの企業幹部を悩ませている疑問に光を当てるものだ。具体的に言えば、コンピューターを稼働する複雑なシステムの部品メーカーや組み立て業者の不手際や悪質な行為によって、企業データへの何らかの裏口がネットワークハードウエアに仕掛けられていた場合、どうすればいいのかという問題だ。