因果関係が成立するには、国民がたくさんチョコレートを食べるから(原因)、ノーベル賞受賞者が多くなる(結果)ことを、論理的かつ常識的に説明できなければならない。

 説明できないとすれば、そこには「第三の指標(変数)」が存在する可能性がある。このケースでは「国民1人当たりのGDP」がそれに当たるかもしれない。

 つまり、「国民1人当たりのGDP」が高い豊かな国では、嗜好品であるチョコレートをたくさん買える余裕のある国民の人数が多い。

 また同時に、「国民1人当たりのGDP」が高い豊かな国であれば、教育にお金をかけることができ、その結果としてノーベル賞受賞者が増える可能性がある。

 これならば、ある程度論理的で、常識にのっとった説明といえそうだ。

 単なる相関関係を、直接の因果関係があるように勘違いすると、ミスリードされてしまいがちだ。

 統計的に2つの指標(変数)の関係性が示されている場合は、それが相関関係だけなのか、それとも因果関係までわかっているのかを、きちんと押さえる必要がある。

 ちなみに、チョコレートとノーベル賞の関係については、専門家による解説記事 もあるので、ぜひ参照してほしい。

古代エジプト人は「相関関係」の観察から
正確な暦を発明した

 では、因果関係のわからない相関関係のみのデータは「いいかげん」で、その価値はゼロかというと、そんなことはない。相関関係だけでも、発明・発見やイノベーションにつなげることは、十分可能なのだ。

 かなり歴史をさかのぼるが、古代エジプト時代、紀元前約3000年頃の例を挙げよう。

 近代科学が十分発達していない時代には、明確なエビデンスのある因果関係を見極められないことが多い。それでも古代エジプト人は、とある相関関係をもとに、1年を365日とする正確な「エジプト暦」を“発明”していた。

 古代エジプト人が気づいた相関関係とは、「ナイル川の氾濫」と「シリウスという明るい星が、日の出直前に東の空に見え始めること」が、同じ時期に起こることだ。