ナイル川の氾濫は、流域に肥沃な黒土を運んでくれるため、その土壌を使った農作業を始めるきっかけになる。そのため古代エジプト人たちは、シリウスが日の出前に東の空に現れた時期を起点として、その後1年間の農作業を計画するようになった。

 シリウスが見え始める日を1年の始まりとし、次にまたシリウスが東の空に現れるまでの日数を数えると365日あった。こうして、今の太陽暦の元となったとされるエジプト暦が作られたのだ。

 ここで重要なのは、古代エジプト人たちが、シリウスの動きとナイル川の氾濫との間に因果関係を認めたわけではない、ということだ。因果関係はわからなくとも、偶然見つけられた相関関係を無視せずに、注意深く観察した。

 ただし、ここで相関関係を発明やイノベーションに結びつけるには、正しい統計情報が必要だった。天体観測によって、シリウスの正確な出現時期を統計的に知っていたからこそ、古代エジプト人はナイル川の氾濫を予測し、暦を作ることができた。

 現代でも、統計情報を正しく読み取ることで、意外な相関関係から思いがけないアイデアが浮かぶかもしれない。

 本書は、ランキングを例に挙げながら、それにまつわる統計学の知識や考え方を、初心者にもわかりやすく解説している。仕事における意思決定やイノベーションに、ぜひ活用してみてほしい。

(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)

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