『週刊ダイヤモンド』2019年6月15日号第1特集は「保険 どうなる節税どうする見直し」です。この2年間、中小企業の間で爆発的な人気を得た節税保険(法人定期、経営者保険)。保険会社は節税効果を高めた新商品を次々に投入し、市場規模は瞬く間に8000億円以上にも膨れ上がりました。その異常なほどの過熱ぶりに、国税庁がとうとう「待った」をかけ、業界が大騒ぎになっています。そこで特集取材班は、第一生命ホールディングスの稲垣精二社長にインタビューを敢行。本誌で掲載したインタビュー記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。
──金融庁が合理性、妥当性に欠けると指摘するような、付加保険料を過度に調整した節税保険を投入したのはなぜでしょうか。
付加保険料の設定のロジックは各社各様あり、それを今回各社が大きく変えてきたわけではありません。こういった保障性商品にはこういったローディングでいくとか、特約についてはこれぐらいの薄いローディングでいくとか、組み合わせることで後半の付加保険料が高くなることがあるということです。
ほかの商品との公平性を崩してまでつくっているわけではないのですが、一歩引いてみて、結果としてそれが解約返還金を増やすことにつながり、過度に節税効果を後押しすることにつながっていないかと言われれば、それは完全に否定することはできません。当時のロジックに固執して柔軟な発想を持たないという経営はしたくありませんし、指摘された部分については見直す判断をすでにしています。
──「ネオdeきぎょう」の付加保険料の調整によって、他社が追随する動きが加速したと感じています。
代理店に訴求力があって、代理店の中で勝ち抜ける商品を意識したということはあると思います。経営者保険は、保障機能についてかなり説明をしていますが、返還率も一つの物差しになっていて、そこに競争があったのは事実ですし、過度にそちらに目がいったというのが今回の問題だと思います。