『週刊ダイヤモンド』2019年6月15日号第1特集は「保険 どうなる節税どうする見直し」です。この2年間、中小企業の間で爆発的な人気を得た節税保険(法人定期、経営者保険)。保険会社は節税効果を高めた新商品を次々に投入し、市場規模は瞬く間に8000億円以上にも膨れ上がりました。その異常なほどの過熱ぶりに、国税庁がとうとう「待った」をかけ、業界が大騒ぎになっています。そこで特集取材班は業界最大手の日本生命保険、清水博社長にインタビューを敢行。本誌で掲載したインタビュー記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。

清水博しみず・ひろし/1961年生まれ。83年日本生命保険入社。2012年常務執行役員、16年専務執行役員、18年4月より現職。 Photo by Jun Takai

──「プラチナフェニックス」をきっかけにして、節税保険の商品開発や販売競争が過熱しました。今年2月に国税庁が税務ルールの見直しで待ったをかけるまでの一連の経緯を、どう見ていましたか。

 われわれにはかねて、経営者保険の競争力が他社よりも劣っているという問題意識があり、それがプラチナをつくったきっかけでした。しかしながら、それによって想定を超えるような販売競争が起こり、結果として税務の取り扱いが変わったことで、顧客に迷惑を掛けることになってしまいました。そのことへの批判は、真摯に受け止めなければいけません。

──「これは保険ではありません」とか「高い節税効果があります」という財テク話法が、募集の現場でまかり通っていたのはなぜですか。

 保険本来の保障がまずあって、損金処理などの税務ルールはあくまで副次的なもので、決まったものではないという説明は社内で徹底していました。一方で、それでも損金性にウエートを置いた販売事例があったのは事実ですし、反省すべきだと思っています。プラチナの商品競争力が強かったが故に、そうした話法を使うことになったのだと思います。