筆者のような古い人間は、ニューヨーク・ヤンキースが1949年から5連覇した当時、球団分割論があったのを覚えている。現在、米大リーグ(MLB)で最も力を持っているのは選手会だ。MLB選手会はおそらく、米国史上最も成功した組合だろう。アスリートが搾取されていた時代に設立された同選手会は、選手にとって大事なライセンス権や年金、そして上限なしの年俸を保証している。しかし、成功は新たな課題も生んでいる。これまでの恩典が限界に達するなか、今後も選手の役に立つための方法を選手会はどう見いだしていくべきだろうか。これは、あらゆる産業で労働組合が直面している課題でもある。米民間セクターの労組員数は人口の6.4%まで低下しており、労組に所属する公務員の割合は3分の1にすぎない。MLB選手会の年俸高騰化を可能にしているのは、MLBの収入増加だ。エンゼルスのマイク・トラウトは最近、12年総額4億3000万ドル(約457億円)の契約を交わした。しかし、選手は税金という形で収入の最大50%を持って行かれる。一方、税制面で優遇されているのは球団オーナーだ。彼らはチームを売却する際、キャピタルゲイン税適用という恩恵を得ている。