トランプ政権内のあらゆるレベルの当局者や民主党の重鎮らとの会話を通じて、筆者は明白かつ気がかりな2つの結論に達した。1つは中国との関係において米国は歴史的な転換点にますます近づいていること。その背景には共和、民主両党がともに対中姿勢を硬化させていることがある。もう1つは来るべき事態にわれわれは準備ができていないことだ。この状況はある意味、1940年代半ばに似ている。当時、米国とソ連は戦時の同盟国から冷戦状態へと急速に移行しつつあった。ハリー・トルーマン大統領と、国務省および陸軍省の一握りの当局者は両国の反目が始まっていることを早期に見抜いていたが、一般世論の反応は遅かった。英国のウィンストン・チャーチル首相は1946年3月の演説で「鉄のカーテン」という表現を使った。この言葉は今では有名だが、当時はタカ派すぎるとして広く非難された。演説を最後まで聞いていたトルーマン大統領は拍手を送ったものの、チャーチル首相の強硬路線からは距離を置いた。それから2年後の1948年2月にチェコスロバキアで起きた共産党のクーデター、6月に始まったベルリン大空輸、そしてトルーマン大統領が7月に選抜徴兵法を再び制定して初めて米国民は冷戦の現実に気づいた。
【オピニオン】中国との冷戦、米国の準備まだ整わず
中国に勝つために米国は敵と己を知る必要がある
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