イランが17日発表した濃縮ウランの増産は、急激に緊迫する中東情勢の背後にある「真実」をほぼ完璧に物語っている。世界が今、目にしているのは、戦争へ向かう序章というよりは、レバレッジ(交渉上の相対的優位性)を巡る戦いだ。トランプ政権はこれまで、イランに対し著しいレバレッジを手にする一方、イランはそれに対抗するためのレバレッジを切実に必要としている。だからといって戦争が起こらないという訳ではない(読み間違いをする可能性は高く、そのリスクはさらに高まっている)。戦争は米・イラン双方とも望んでいる結果ではないということだ。校庭でにらみ合っている子供たちが、一線を越えずに済むことを願いながら、越える構えを見せようとするのと同じ「いちかばちか」の賭けだ。