石油輸出国機構(OPEC)のモハメド・バーキンド事務局長はこの3年間、サウジアラビアのサルマン国王と並んで礼拝し、イランのハッサン・ロウハニ大統領と食事を共にしたばかりか、モスクワのクレムリンにウラジーミル・プーチン大統領を訪ね、米国では国務省高官らとも会談した。敬虔(けいけん)なイスラム教徒のバーキンド氏は、かつては実務的な役回りだったポジションに地政学的な影響力を持たせ、OPECの舞台裏で調整役を担う一方、敵味方の双方にOPECへの関心を高めさせている。ここへ来て取り組んでいる新たな挑戦は、トランプ政権そして米国からの幅広い支持を取り付けることだ。米当局者は長年、「価格操作を謀る一団」とみなしてOPECを敬遠してきた。米国にとって世界石油市場での最大のライバルともみていた。トランプ氏が大統領に就任してから、米国は、OPECが講じる措置に対し、前例のない脅威となっている。トランプ氏は、OPECが原油価格を引き上げていると非難するツイートを連発している。
OPEC司令塔の全方位外交、敵味方にアピール
米国との対話は一段と切実な課題
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