米中貿易交渉で圧倒的な交渉力を握っているのは米国のはずだ。米国が中国から輸入しているものはその逆よりずっと多い。米国は数多くの重要な技術について唯一の供給国であるうえ、世界の国々からより多くの支持を受けている。しかし中国には非常に有利な点がひとつある。それは目的がはっきりしていることだ。同国の交渉の優先順位は、過去何十年かの間に変化してきたが、目的は常に同じだった。それは、一党支配を維持しながら発展の階段を着実に上っていくことだ。華為技術(ファーウェイ)への部品供給を禁止する米国の措置は、この発展の次の段階、つまり世界最先端の技術分野で他国と競う段階への移行を、決定的に脅かすものだった。だからこそ中国の習近平国家主席は先週末、大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせてドナルド・トランプ米大統領と会談した際、貿易交渉再開の主要な条件として同禁止措置の解除を求めたのだ。
中国の交渉目的は明確、米国はバラバラ
中国のファーウェイ優先は長期戦略に合致、トランプ政権は混迷
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