欧州にとって、ドイツ経済の減速は短期的には間違いなく悪影響となるが、長期的には良い作用を及ぼすかもしれない。強い経済を持つ欧州北部と経済的に弱い南部は成長志向の戦略を巡って対立しているが、これが和らぐ可能性があるからだ。ドイツはユーロ圏の経済活動の3分の1近くを担っているが、3月までの1年間の成長率はイタリアを除く全ての欧州連合(EU)加盟国を下回った。これにより、ドイツの歩調は他の加盟国に近づいた。背景にあるのは、世界経済の成長鈍化や長引く英国のEU離脱(ブレグジット)プロセス、米中貿易摩擦だ。アナリストらによると、ドイツが失速したことで、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁と後任に内定したクリスティーヌ・ラガルド氏は、低金利の長期化や政府支出拡大の必要性に疑問を持つドイツ国民を説得しやすくなるかもしれない。
ドイツ経済の減速、欧州「南北分断」を緩和するか
低成長のドイツ、他のEU加盟国と協調し政府支出を拡大する可能性も
有料会員限定
あなたにおすすめ