サムスン電子
Bloomberg/gettyimages

 6月29日、米国は中国製品への追加関税を見送り、交渉再開へ歩み出すと発表。米中貿易戦争は一旦休戦となりました。ドナルド・トランプ米大統領は中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)へ半導体製品の輸出を認める発言をするなど、緊張緩和へ向けて米中はようやく歩み寄り始めていました。

 しかし、ハイテク業界関係者にとってはホッとしたのは一瞬。先週、新たな火種が生まれてしまいました。日本が発動した韓国への半導体材料などの輸出規制です。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>ハイテク業界ナショナリズムの波、日韓にも

 輸出規制の内容は、7月4日から「フッ化ポリイミド」「レジスト(感光材)」「フッ化水素(エッチングガス)」の韓国向けの輸出と、これらに関連する製造設備の輸出を含めた技術の移転について、輸出審査を厳格化するというもの。審査は90日程度かかる見通しだということです。

 フッ化ポリイミドはスマートフォンのディスプレーや有機ELパネルなどの製造に、レジストとフッ化水素は半導体の製造に使われる素材で、それぞれ不可欠な素材です。半導体メーカーとして世界トップを走る韓国のサムスン電子やSKハイニックスは、これらの部材の大部分を日本企業に頼ってきました。WSJの記事によると、半導体材料において日本企業は実に7〜9割のシェアを握っているとのことです。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>世界の半導体業界、今度は日韓関係が足かせ

 韓国は、自国経済を支える半導体業界が大きなダメージを受けるため、日本企業が規制を発動する前日に、素材や装置に対して年間1兆ウォン(920億円)の投資を検討していると公表。日本からの供給に頼らず、自立を目指すという宣言をしたわけです。

 しかし、そんなに早くに自立ができるわけでもありません。WSJの記事では「韓国政府の投資は即効薬にはならないだろう」と分析しています。