米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう「WSJ3分解説」。今回は世界的に人気のゲーム「フォートナイト」を開発する米エピックゲームズが、米アップルとグーグルという2大ITジャイアントに対抗している件を取り上げます。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
アップル&グーグルに戦いを挑む
エピック社が長年抱えてきた不満
世界的な人気ゲーム「フォートナイト」。その開発・運営会社である米エピックゲームズが、米アップルと米グーグルに反旗を翻し、話題となっています。
しかし、アップルとグーグルといえば、新興国の国家予算に匹敵する財務力を誇り、世界中のユーザーの個人情報や課金情報を握っている、強大なパワーの持ち主。その2大ITジャイアントに、いちゲーム会社であるエピック社は、なぜ反旗を翻すことになったのでしょうか。
米有力経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)の記事を引用しながら解説していく前に、まずはゲーム開発会社とアップル、グーグルの関係性について整理してみましょう。
エピック社が開発・運営する「フォートナイト」は、3億5000万人超のユーザーを抱え、パソコンやタブレット端末の他、プレイステーションやニンテンドースイッチといったゲーム機など、さまざまなプラットフォームで遊べるゲームです。
ユーザーはエピック社から直接ゲームソフトをダウンロードしたり、アップルの「App Store」やグーグルの「グーグルプレイ」からアプリをダウンロードしたりして、ゲームを楽しむことができます。
エピック社にとってアップルとグーグルは、ゲームを世界中に流通させるために欠かせない存在。一方で、アップルとグーグルにとってエピック社は、大人気ゲームを開発し、多数のファンを抱える有力なゲーム開発会社で、App Storeやグーグルプレイにアプリを提供する企業の一社という位置付けだといえます。
しかし、エピック社はiPhoneなどのユーザーがゲーム内で課金したとき、その料金の30%をアップルやグーグルが手数料として徴収することは、課金システムを不当に独占しているとして、長年にわたって不満を抱いていました。
そうした状況で8月13日、エピック社はゲーム内で、ある機能を実装しました。それは、アップルやグーグルに30%の料金を徴収されない独自の課金システムでした。