年金炎上から垣間見える「老後不安社会」ニッポンの残念なリアル
年金不安が連日大きく報道されている。大きな不安感が社会を覆い始めた背景には、どのような要因が潜んでいるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

大炎上した「老後2000万円」問題
なぜ漠然とした不安を感じるのか

「年金不安」が連日大きく報道されています。国の公式見解としては現在の年金制度は「100年安心」であり、また一時期話題になった「豊かな老後を送るための資金が2000万円足りない」という報告は誤ったものである、というものです。

 その通りであれば老後の心配などまったくないはずですが、現実にはさまざまな局面で年金や老後生活についての不安を多くの人々が語っています。大きな不安感が社会を覆い始めた背景には、どのような要因が潜んでいるのでしょうか。我々に「未来の不安」を感じさせる要因を探ってみたいと思います。

 今の70代の方が30代で最も脂がのっていたころ、つまり1980年ごろの日本と2020年の日本はどう違うのでしょうか。そう考えて、1980年ころの日本社会を振り返ってみることにしました。

 1980年の日本社会では、会社を定年退職になる年齢は55歳でした。55歳の誕生日になると、「お疲れ様」と職場の社員たちから花束をもらって退職する。これが当たり前の光景でした。

 その当時の日本人男性の平均寿命は73歳。定年後は5年くらい再雇用先を見つけて働き、60歳からは年金生活に入って、大体13年後に寿命を迎える。その間、それほど生活に困ることは考えにくく、安心して老後を過ごすことができた時代でした。

 なぜ、その当時は老後の生活についての不安が小さかったのでしょうか。年配の方に要因を訊ねてみると、以下のような点で当時は今とは社会が違っていたことがわかります。

(1)人生は70年と考えていた

(2)55歳の退職時には子どもの教育投資が終わり、住宅ローンも完済していた

(3)年功序列・終身雇用型の日本企業では、定年退職時にそれなりの蓄えができていた

(4)会社員ではない自営業の場合も、自宅兼店舗が手に入って70歳まで働くことができた