欧州の輸出が勢いを失いつつあることが、マリオ・ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の悩みの種だ。ドラギ総裁は新たな金融刺激策を近く実施する方針を25日に明らかにするとみられる。その目的は、ユーロ圏の工場に静寂をもたらしている世界貿易の減退の影響を相殺することだ。ECBの当局者たちは、昨年12月時点ではこうした刺激策はもはや必要ないと考えていた。それはつい先日のことのように思える。ECB当局者の心変わりはユーロ圏経済の弱さを反映したものだ。ユーロ圏経済は貿易の伸びに大きく依存しているため、その行方は遠い域外の出来事によって不相応なほど大きく左右される。米中の貿易紛争は広い範囲で世界貿易の減速に拍車を掛けており、欧州は現在、この状況から大きな打撃を受けている。欧州企業は米中の砲火の圏外にいるように見えるかもしれないが、中国向け輸出が滞ることで痛手を負っている。中国国内の製造拠点では、投資が抑制されている。また、他の地域における欧州企業の顧客も、支出に関する警告灯を点滅させている。
米中貿易紛争、巻き添え食らう欧州
輸出に大きく依存するEU諸国は国際貿易の急減で苦境に
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