自分だけのオリジナルボイスを依頼できる「声師」。企業向けにはソーシャルゲーム用の声付や、電子書籍のナレーション等を安価に提供する。http://www.koeshi.com/

 携帯ゲーム会社のみならず、スクエアエニックスやヤマダ電機といった大手企業が続々と参入しているソーシャルゲーム。

 先頃、ゲーム内のコンプガチャと呼ばれる課金システムが景品表示法違反として話題になったことは記憶に新しい。業界全体の健全化が急務とはいえ、今後もスマホ時代の有力コンテンツとして伸張していくことは予想に難くない。

 そんな中、ゲームそのものではなく、ゲームに登場するキャラクターボイスの収録、制作を請け負うサービスが登場した。「声師」である。

 ソーシャルゲームはカードバトル形式のものが多く、流麗なイラストやアニメさながらのキャラクターボイスも、ユーザーを惹きつける魅力となっている。だが、これから参入を考える企業にとって、ボイスの制作は案外と敷居が高い。声優やディレクターのスケジュール調整、スタジオのセッティングなど、かかるコストも割高になるからだ。

「声師の場合は、声優さん宅に録音機材を用意し、自宅収録をしてもらっています。クライアントから修正指示があれば、簡単に再収録もできるという点が一番の特徴です。結果的に、スタジオ費用も抑えることができます」(株式会社Green romp野田貴大代表取締役社長)

「声師」が提供するオリジナルボイスは、個人向けと企業向けの2つのコースがある。個人向けの場合は、20文字2000円から選択可能だ。キャラのラインナップは大きく「妹系」「後輩系」「猫系」などを用意。それぞれ癒し系、お姉系、さっぱり系、天然系など、特色のある声師たちが顔(声?)を揃えている。

 個人ユーザーは、サンプルボイスを参考にしながら、好きな声師をセレクト。依頼したいセリフを指定して、注文すればいい。この時に、声のトーンやシチュエーションなども伝えておけば対応してくれる(ただし内容によっては、要望が通らない場合もある)。オーダー確認後、声師が収録を開始。完了すれば、納品となる。企業からの依頼の場合は、セリフ量やキャラクターのイメージなどによって料金を調整することとなる。

「声師では、これまでの音源収録の手間を一気に省き、効率の良い作業を提供します。どの声師も、声優の学校をしっかりと卒業しており、安価ながらもクオリティは高いと自負しています。いち早くサービスをスタートさせたい企業の支援ができればと考えています」(同氏)

 ただし「声師」スタートの背景には、また別の意味合いもある。いまや、声優という仕事は、若者の憧れの職業である。しかし一方で、たとえ育成学校を卒業していても、夢を実現できるのは一握りの人間しかいないという厳しい現実がある。

「誰もが小さい頃に目指した職業があると思います。しかしその職業に就くために勉強したにもかかわらず、関係のない仕事やアルバイトをしていかなければ食べていけない、ということもよくある話です。ノマドなど様々なワークスタイルが存在する時代ですが、声師を通じて、誰もが目指す世界の中で対価を得られる社会になるよう、少しでも貢献できればと考えております」(同氏)

 今後はソーシャルゲームのみならず、電子書籍の朗読なども視野に入れているという「声師」。ソーシャルゲーム市場の活性化、健全化の促進とともに、声優のタマゴたちにとっての“福音”となることも願うばかりだ。

(中島 駆/5時から作家塾(R)