米大統領選では2つの不変の真理がある。所属政党の候補に指名されなければ、大統領の座を射止めることはできない。一方で、予備選を勝ち抜くための姿勢が有権者の多くに容認されないものであれば、本選で勝つことはできない。つまり大統領選で勝利するためには、この2つの条件が重なるスイートスポットを見つけ出さなくてはならない。民主党の多くの候補者はこの方程式の後半部分を忘れてしまったようだ。彼らは民主党支持者には受けがよい一方で国民には受けない立場を取り、その結果、ドナルド・トランプ大統領再選の可能性を高めているのだ。公共ラジオNPRとマリスト大学による最新の世論調査が、この力学をめぐる詳細な洞察を提供している。例えば、民間医療保険に代わる「メディケア・フォー・オール(国民皆保険)」案への賛成は、民主党支持者では64%に上るが、有権者全体では41%にとどまる。不法移民に対する公的医療保険の適用は、民主党支持者の60%が支持しているのに対し、有権者全体では33%しか支持していない。不法入国者を処罰対象から外すことは有権者の27%しか賛成せず、奴隷制や人種差別への補償を支持する割合も同程度に少ない。死刑廃止は、民主党支持者の大多数の賛同を得ているが、これを支持する有権者は全体の3割を辛うじて超える程度だ。