テレビの報道・情報番組で来年の東京五輪・パラリンピックの関連行事が放送されない日はない。東京五輪の開会式まで1年を切った。開会式までちょうど1年となった7月24日には、東京駅前の丸の内中央広場に大型時計「カウントダウンクロック」が設置された。お披露目のイベントに登場した主役は東京都知事の小池百合子(67)だ。
「カウントダウンクロックが刻む時を感じながら大会成功への準備を加速させ、都民、国民と共に盛り上げていきたい」
こう挨拶した小池には、もう一つのカウントダウンが始まった。来年7月30日の任期満了に伴う東京都知事選だ。公職選挙法によると、知事選は任期満了前30日以内に行うこととなっている。来年のカレンダーを見ると、その期間内の日曜日は7月5日、12日、19日、26日の4日。自民党幹事長の二階俊博は「五輪と選挙の執行は直接関係ない」と明言していたが、五輪開会式への影響などを考慮すると投開票日は7月5日になるとみられる。告示は6月18日だから、ほぼ五輪の最終準備と選挙戦が重なる。
問題は小池がすんなりと再選されるかどうか。本格的な選挙戦となれば、どんな空気が支配するのかは想像すらできない。しかし、現状は小池の続投を巡っては、なお3年前の都知事選のしこりを残す。むしろ確執は激しさを増している。この選挙は前知事の舛添要一の突然の辞職に伴うものだったため、告示日直前まで主要政党は候補者を決められずに迷走が続いた。その迷走を尻目に自民党の衆院議員だった小池が突如として出馬を表明した。
「崖から飛び降りる覚悟で挑戦したい」
自民党東京都連への事前の相談はなく、ここから対立が始まる。小池は都連を「ブラックボックス」とこき下ろした。その都連は元総務相の増田寛也を擁立し、結果は小池の得票数は約290万票、増田は約180万票。小池の大勝に終わった。増田擁立には官房長官の菅義偉が深く関与した。