3つに大別される宗教
それから、今までの学問でもわからないことは山ほどあって、宗教については、どんな本を読んでも、世界の宗教は3つに大別されると書いてあります。
1つはセム的一神教です。
これはユダヤ教、キリスト教、イスラーム教という3つの宗教が入るのですが、みんなセム族が始めた宗教で、この3つの宗教の神様は同じです。
「YHWH」、母音がないので正確な読み方はわからないのですが、一応「ヤハウェ」と呼んでいますが、イスラーム教では「アッラーフ」という名前です。
要するに、同じ神様を信じるセム的一神教が、世界の宗教人口の中では5割強と圧倒的な人口を占めているのです。
でも、一神教は神様が一人の宗教ですから、ほかに誰か考えそうなものです。一神教を考えつく人が他にいてもいいはずなのに、なぜセム的一神教だけが世界を席巻してるのかについてはいくつか説はありますが、みんなが納得する説はないようです。
その次に大きいのが、インドのヒンドゥー教です。
これは、インドの人口が多いから当たり前と言えば当たり前です。
3つ目に、東アジアの中国や日本の仏教が挙げられます。
でも、仏教といっても、インドで生まれた仏教とはかなり姿・形が違う。
しかも、日本は、お寺といえば檀家があって、冠婚葬祭の手伝いをしているようで、これが宗教なの? と思う人がいるかもしれませんが、世界で生き残っている宗教というのは、この3つの範疇に分けられると思います。
もし4つ目を挙げるとすれば、アメリカで起こっている新興宗教を挙げる人がいるかもしれません。
キリスト教の変形であったり、インドのヨーガの変形であったり、宗教にもいろいろな変形があるのですが、世界は広いのに、今生き残っている宗教のほとんどが「セム的一神教」をベースにしているのも不思議なことです。
納得のいく答えは見つかっていないのですが、これも「偶然」で説明するのが一番わかりやすいのでしょう。
アット・ランダムに考え、こういう宗教をつくる人がたまたまセム族の住むこの地域から出たと。
それが多分、一番の答えかもしれませんが、まだわかってないことは多いのです。
ということで、皆さんがこの『哲学と宗教全史』を読んでいただいて、AI、凶悪事件、冠婚葬祭など、いろいろな問題を各自で考え、人生を生きていくうえでの何かのヒントになれば、著者としてはめちゃくちゃうれしいです。
言いたいことはほとんど『哲学と宗教全史』に書きましたので、あとはお読みいただけたらと思います。ご静聴ありがとうございました。
(おわり)