今回は、沖縄の話をふたつほど、書いてみたいと思います。と言っても、今話題の普天間基地やオスプレー配備の話ではありません。

 ひとつは、宮古島のバイオ・エタノールの研究所の話。日本の摩訶不思議な規制の弊害と、今後のアグリITと再生可能エネルギーの可能性を考えさせられました。

 もうひとつは、沖縄科学技術大学院大学(Okinawa Institute of Science and Technology:略称OIST)。日本が世界に誇る、本当に素晴らしい大学であり、意図して行われているバイオテクノロジーや物理学などの分野を超えた融合は、ITを武器として融解しつつある業界の「壁」に似ているのではと思いました。ひょっとすると、意識して「壁」を取り払うことが、今後のビジネスの方向性なのかもしれません。

 私は、縁があって、去年から「経済同友会沖縄振興委員会」に参加させて戴いています。

 委員長は全日空の伊東社長、副委員長がリクルートの柏木相談役、委員にオリエンタルランドの上西社長、三井不動産の市川常務、オリックス不動産の山谷社長、ワタベウェディングの渡部会長などなど(全員の方々のお名前を上げないと申し訳ないようなビッグネームばかりです。でも、人の名前を挙げ連ねても仕方がないので、このあたりで省略させていただきます。すみません)、そうそうたるメンバーの方々とご一緒させていただき、何度か、沖縄を訪問してまいりました。

 それらの訪問は、前述のように、日本のITの方向性のヒントにもつながる、とてもいい機会になりました。

宮古島のバイオエタノール
「副産物」は世界有数のポリフェノール

 皆さんは、宮古島には「河川」が無いってご存知でしたか? 不勉強ながら、私は今回の訪問で初めて知りました。

 宮古島は、もともと、表土が平均80cmしかなく、その下には琉球石灰岩が50~120m(旧上野村付近で厚さ50メートル、島の北東部においては120メートルに達する)もあり、さらにその下に島尻層泥岩という硬い岩盤があるんだそうです。

 そのため、雨はすぐに表土を通り抜け、地下の石灰岩を通して海に流れ出てしまいます。つまり、島全体が巨大な「ろ過装置」のようになっていることになります。

 結果として、「河川」が形成される「地上の水の流れ」が作られないので、川が無い島になっているというわけです。