読者や視聴者の反応が薄いのは、「難しい話」に加えて、今後の年金水準の行方がいくつもの「仮定条件」の積み重ねだからと考えられる。

 年金の財政検証は、「経済成長率」「物価上昇率」「賃金上昇率」「運用利回り」など複数の試算要素をもとに「経済ケース」というシナリオが6パターン作られているが、将来どのシナリオになるのかは誰にもわからない。どれにもならず、別の結果になるかもしれない。

「老後資金問題」のように「2000万円が足りなくなる!」といった数字的なわかりやすさがないので、多くの人が検証結果に関心を持つことができていないと思われる。

 年金制度については、財政検証の結果を踏まえ、最悪のシナリオにならないような政策がとられるだろうから、国民は現時点で「たられば」の積み重ねの資料を完全理解する必要性もないだろう。

1991年の女性誌が算出していた
老後資金は7400万~9700万円!?

 私の事情で言うと、年金の財政検証の発表の翌週にこの連載コラムの締め切りが控えていたので、結果をわかりやすく解説するつもりであったが、結果と報道を分析するうちに、すっかりその気持ちがなくなってしまった。

 では、何を書こうと別テーマを考えていたら、オフィスの入口沿いの古本屋さんのラックにさしてある雑誌の表紙が目に止まった。

1991年のクロワッサン筆者が購入した1991年5月25日号「クロワッサン」

「1991年版お金徹底取材特別号」と大きく書いてある。雑誌はマガジンハウスの老舗女性誌「クロワッサン」の1991年5月25日号。1991年は、私はまだFPになっていない。バブル絶頂期のお金特集はどんなことが書いてあるだろうと興味津々で買ってみた。ちなみに、定価480円のところ古本なので110円で入手。

 バブル期発行っぽい景気のいい話のオンパレードと思いきや、「老後のお金、どう取り組めばいいのか」という特集が16ページもある。景気の良い当時でも「老後」は多くの人にとって不安要素であったことが意外だった。28年前と今は、そう変わらないということか。

 冒頭トビラページに「日本生命の計算式による老後の生活資金」という図がある。このたびの金融庁の「老後資金2000万円」の計算の根拠となったデータと大きく異なっており、興味深いので両方紹介しよう。