BBS、実は日本製
紆余曲折の末、福井資本に
BBS (ビービーエス)をご存じだろうか?
ポルシェやベントレーなどの超高級車、またF1やスーパーGTなどの最高峰レースなどで採用されている高品質ホイール。世界中のクルマ愛好家にとっては“憧れの存在”だ。
ドイツのブランドとして周知されているが、実は製造拠点は日本(富山県高岡市)にある。
もともと、1970年にドイツの地方都市シルタッハでバウムガルトナー氏とブラント氏という2人のエンジニアが設立。両氏の頭文字をとってBBSとした。80年代から90年代は世界的に自動車アフターマーケットが拡大。合わせて自動車メーカーで高級ホイール採用が増え、BBSは年間売り上げ百数十億円規模のビジネスにまで成長した。
ホイールはタイヤを組み付け、クルマの操縦安定性を支える商品だ。商用車や軽自動車などでは価格の安い鉄製が主に使われ、小型車からはアルミ製が普及している。だが、アルミ製でも鋳型で固める鋳造品が多く、高度な加工技術を必要とする鍛造品はアルミ製ホイールの中でも上級品だ。
BBSは世界にアルミ鍛造ホイールを広めたメーカーとして名高い。また、マグネシウムや航空機用の素材などとして使われる超々ジュラルミンなど、アルミよりさらに軽量な金属を使った超高級ホイールの量産にも成功している。
ところが、2000年代以降は高性能ホイール市場への参入企業が増えるとともに、アフターマーケットの縮小などBBSを取り巻く環境が大きく変わった。
2012年にはBBSを製造するワシマイヤー社など関連企業が経営破綻。会社更生法の手続きを経て、土木や建設用途商品の大手、前田工繊(まえだこうせん/本社:福井県坂井市春江)が56億3000万円でBBS事業を買収し、2013年にBBSジャパンとして再出発した。