人の集まるところに嫉妬はつきもの。もちろん、ビジネスであってもそれは例外ではない。俊敏な人であれば、他者からの嫉妬をいかにかいくぐるかが、組織で生き抜くために必須の術(すべ)だと知っているだろう。仕事における嫉妬がいかにこわいか。そんなエピソードを調べた。(取材・文/フリーライター 鎌田和歌)
炎上に乗じて噴出する
個人的なしがらみ
唐突に個人的な経験から始めるが、少し前にこんなことがあった。
ライター業界ではまず知らない人はいない、ある書き手(Mさん、とする)が、ネット上で炎上騒ぎを起こしたのだ。彼を批判する人も擁護する人もいて、ちょっとした論争に発展していた。
そのとき急に、Mさんの昔の上司だったという男性が、SNS上に、過去の彼の「無礼な行い」について書き立てたのである。もちろん、件の炎上騒ぎとは直接的な関係はないエピソードだ。しかし、Mさんを批判したい人からすれば、格好の餌。批判派は、「やっぱりMは昔からずる賢く、あざといヤツなのだ」と言い立てた。
このような展開は、ネットの炎上でよく見かける。炎上した人物が、芋づる式に過去の行いを暴かれるのである。「そりゃあ言われてもしょうがないなあ」と思うものもあるが、「その程度の不義理なら、誰にでもあるのではないだろうか」と感じるものも少なくない。
要は、炎上に乗じて、それまでたまっていた憎しみをぶつけているのである。もともと面白くないと思っていたヤツが炎上している、これはたたく良いチャンスだ、というわけである。
有名になるのも大変だと思わざるを得ない。引きずり下ろすチャンスを虎視眈々(こしたんたん)と狙う輩(やから)がそれだけ増えるからだ。