東京都知事の小池百合子
東京五輪のマラソン、競歩の札幌開催を巡る「北方領土」発言について、記者団の取材に応じる東京都知事の小池百合子 Photo:JIJI

「日本4強ならず」──。10月21日付の東京発行の一般紙6紙のうち「朝日新聞」を除く5紙の1面に全く同じ見出しが躍った。ラグビーW杯で史上初めてベスト8入りしたラグビーの日本代表が敗れた対南アフリカ戦のテレビ視聴率は41.6%(NHK)を記録した。

 日本代表の快進撃によって「にわかラグビーファン」が激増し、社会現象になった。そして多彩な出身国の選手たちが織り成したチームワークを「ワンチーム」という言葉が象徴した。

 ところが、ラグビーW杯の熱狂の裏側で、もう一つのスポーツの祭典を巡って想定外の事態が進行していた。来年の東京五輪のマラソンと競歩の2競技の会場を札幌に移すというのだ。ニュースは中東の産油国、カタールの首都ドーハから飛び込んできた。日本時間16日午後8時前、共同通信が速報で伝えた。

「国際オリンピック委員会(IOC)は16日、来年の東京五輪での暑さを懸念し、マラソンと競歩を札幌開催に変更する検討に入ったと発表した」

 ドーハといえば、かつて日本代表がサッカーW杯初出場を逃した場所でもある。以来、「ドーハの悲劇」として26年たった今も語り継がれる。そして今度は「ドーハの衝撃」だ。

 もともと真夏の東京開催を巡っては、暑さ対策が大きな課題であったことは周知の通り。五輪のホスト役である東京都知事の小池百合子も「暑さ対策」の先頭に立ってきた。コースの表面温度を下げるために「遮熱性舗装」の工事を進め、大型扇風機やミストの設置も検討中だ。スタート時間を午前6時に繰り上げるなど、さまざまな知恵と工夫を凝らしていた。

 代表選手の選考も、五輪本番のコースで一発勝負の「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」が実施された。その結果、男女各2人に代表の切符が手渡されている。それが鶴の一声ならぬ「バッハ(IOC会長)の一声」で一気に水泡に帰す事態となった。

「IOC理事会と大会組織委員会はマラソン、競歩を札幌市に移すことを決めた」