「幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である」――。2019年も終わりに近づく中、世界中に広がる政治的な不安を考えるにあたっては、トルストイの「アンナ・カレーニナ」の原則がふさわしいように思える。チリ、ボリビア、フランス、香港、レバノン、イラク、スーダン、アルジェリアなど、ほぼ全ての大陸で都市が炎に包まれ、街頭は抗議運動の参加者であふれている。いくつかの政府が倒れ、今のところ当局が優勢を保っている場所でさえ、より大きな不安の予兆であるもろさがある。騒乱がさまざまな地域に広がる時期に常に言えることだが、騒乱の直接的な原因はその国や地域特有のもので、それぞれ異なる。チリでは地下鉄運賃の値上げがきっかけだった。ボリビアでは政治の不正から始まった。フランスではガソリン税、レバノンではワッツアップなど通信アプリへの課税、イラクでは外部の影響と政府の無能、スーダンでは腐敗と政治的な弱さが原因だった。香港では、物議をかもした逃亡犯条例が自由の原則のための戦いに発展した。
世界的な民衆反乱、共通の原動力とは
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