『外資系で自分らしく働ける人に一番大切なこと』は著者の宮原伸生さんが、日本企業を飛び出し、ベネトンスポーツ、日本コカ・コーラ、LVMH(モエヘネシー・ディアジオ)、ケロッグ、GSK(グラクソ・スミスクライン)などで、もがきながら見つけた「新しい働き方」を紹介する本です。そのエッセンスをコンパクトに紹介します。

Photo: Adobe Stock

分析するだけじゃダメ

今日のキーワードは「構想する力」です。日々直面するさまざまな課題に対して、その解決を通じて何を目指し、成し遂げようとするのか。それが最終的に生み出されるビジネスの価値になるわけです。とするなら、課題解決に向けて正しい分析をするだけではダメで、自分で物事を正しく構想するスキルが問われてきます。

当然ながら、分析はとても大事です。そのために、論理的思考、フレームワーク思考などが用いられるわけですが、特に日本人が注意すべき落とし穴があると私は思っています。それは、分析したことを説明するだけで終わってしまうことです。

外国人の幹部たちにプレゼンテーションをするとき、日本人は分析結果の説明からいきなり具体論に行ってしまいます。しかも、その具体論が控え目だったり、言い訳がましいものだったり、ネガティブな内容だったりすると、外国人はついていけません。私も、あなたの言っていることはよくわからない、と言われることがありました。

そうなるのは外国人、とりわけリーダークラスと話をするとき、「構想する力」が求められるからです。分析するだけでなく、もっと幅広く物事を見て考え、発言する。英語で言えば、ラテラル(Lateral)な思考です。リニア(Linear)ではなく、いろいろなものを組み合わせたり、いろいろな可能性を考えたりする。先を大きくイメージして見通すこと、とも言えます

必要なのは、目の前の事象についてだけでなく、俯瞰した大局観をまず語ることです。それから、分析してわかった事実を語っていく。大風呂敷を広げる必要はありませんが、そういう順序で話していかなければ、受け入れられないことが少なくありません。

最初から結論を決めてしまうのではなく、大きな構造を語ってから、先入観を加えたり、言い訳がましくしたりせずに、可能性について語っていく。

私はよく「あなたの今の議論を、Strategiseして」と言われました。StrategiseはStrategyの動詞形ですから、「戦略化して話してみて」ということです。「言いたいことはわかるが、もっとStrategiseしなさい」と言われたこともあります。わかりやすく言えば、構造的に見せ、いろいろな可能性を俯瞰してみて、こうなるのではないか、というイメージを見せていくことです。

事実を並べて分析し、こうなっています、こうなります、と言うのは単なる説明です。説明と構想は違います。現状の説明に加えて、その先を見て大局観を示し、いろいろなオプションを示していく必要があるということです。単に説明をするだけでは、深く考えていないことの言い訳に聞こえてしまいます。

もちろん、これを完璧にやろうとすると大変ですが、何を話すかという前に、こういう考え方、順序で話していかないとグローバル企業では受け入れてもらえない、ということを認識しておく必要があります。

考えてみれば、ビジネスのフレームワークはほとんどが海外製です。これは、俯瞰して構想しようという発想から生まれてきているのだと私は思っています。普段から物事を俯瞰して見ているから、そういうものが出てくるのです。

例えば、マッキンゼーの有名なフレームワークである「組織の7S」も、組織を構成するさまざまな要素の関係性を俯瞰して見るために生まれました。どうすれば俯瞰して見られるかを考えるから、そのためのフレームワークが生み出されるのです。

大事なことは、「前向きな未来」を構想していくことです。まずは基本的な態度をポジティブにしていく。そして売上げにしても、組織にしても、もっと言えば人生についても、前向きな未来を考える。常に答えはあるという前提で向かうことが肝要です。そして、前向きな未来を実現するために何をすべきか、今何ができるのかを考える。

大きく俯瞰して、単なる言い訳的な報告で終わることなく、では何をしていくかまで考えていく。そのために「構想する力」が求められるのです。