悲観論全敗史

 僕は歴史オタクですが、歴史を見ていくと、これまでのホモ・サピエンスの歴史では悲観論が全敗しています。
 その代表が、たぶんマルサスです。なぜ全敗したのか、答えは明らかです。人間が賢くないからです。

 よく“接線思考”という話をするのですが、円に接線を引きます。
 円を少し転がすと、接線の角度が大きく変化する。
 このように人間はあまり賢くないので、つい現状の延長線上で未来を見てしまう。
 おそらく人間が技術革新を予見できなかったことが、これまで悲観論が全敗してきた理由だと思います。

 でも、これからもそうであるかどうかはよくわかりません。
 今の地球には80億人弱の人間が住んでいます。

 国連が、“人口支持力”、つまり地球がどれだけの人口を支持できる(支えられる)かという研究をやっていますが、僕の記憶では、120億人プラスマイナス10億人ぐらい。それが現時点における人間が地球について考えている知見だと思います。

 結構、限界に近づいています。
 そういう意味で、これまでの歴史上は楽観論が全勝しましたが、これからも全勝できるかどうかはわかりません。

 ただ、どんなことがあっても、あまり悲観的になる必要はありません。僕もロドリーグ先生同様、楽観論が大切だと思います。

 過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。