台湾で11日に行われた総統選挙で蔡英文氏が大差の再選を果たしたことは、中国本土との関係強化に対する拒否感の表れだと広くみられている。しかし、このことは投資家が思うほど台湾経済にとって重要でないかもしれない。この選挙で蔡氏が過去最多の800万票超を得た背景には、中国政府の香港のデモに妥協しない姿勢や近年のより攻撃的な発言に対し、台湾の有権者が警戒感を強めていることがある。アジアでも特に民主主義が活発で自治が行われている台湾について、中国は自国の領土だと主張している。蔡氏の民主進歩党(民進党)は政治的にも経済的にも本土との適度な距離を維持することを主張しており、この傾向は続きそうだ。台湾経済は中国経済と密接に絡み合っているが、融合のペースは世界金融危機以来すでに大きく減速している。中国本土への出荷は2000年代初めに大きく伸びたが、公式統計によると2010年以降は輸出全体の約30%で決まった範囲内を推移している。その多くは「iPhone(アイフォーン)」などの製品に組み込まれ、欧米に出荷される。
台湾は成長持続できる 対中強硬路線でも
蔡総統の再選で台湾経済の強みは変わらない
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